「ひかりごけ」を読みました
不思議なめぐりあわせの1冊。
最近泰淳の奥さんである武田百合子さんの
「犬が星見た ロシア旅行 」を読んだので
続いて彼女の本を読みたいなと思ったが
まず先に泰淳の本も読まなくてはと
大阪に帰ったとき文学全集から泰淳の本を引き抜いてきた。
何から読むかと思ったが
最近ヒカリゴケを平が岳登山で見たばかりなので
その題名に惹かれ、まず最初に。
羅臼の自然描写が素晴らしくて
来年登るつもりの羅臼岳に思いをはせながら
気持ちよく読んでいたら思い掛けない内容ではあった。
ヒカリゴケ事件を知らなかった自分の無知さ加減も恥ずかしいが
こういうテーマと取り組んだ泰淳がすごい。
名前しか知らなかった泰淳が戦後台頭の作家として
一挙に輪郭を持ってきた。
戯曲に仕立てたその表現方法も秀逸。
生々しい表現がなくても臨場感は充分。
「我慢する」という一言に込める船長の思いが多様に迫る。
そしてヒカリゴケの自ら発するのではなく
受けた光で発光するかに見える妖しい光りよう。
彼を取り巻く人間模様を映し出す。
久しぶりに力のある作家の文学作品に触れた感動。
捨てないでよかった本だけど
やっぱり活字が小さくてかたくて読みにくかった。
ちなみに平が岳で見たヒカリゴケ

読書自体の面白さ以外に
本1冊からもいろんな世界につながったり
広がったりに縁を感じることが面白い。
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