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メリエンダのティータイム

お茶飲みながら気楽・気軽・気ままにつづる日々雑感。姑99歳を1昨年、母96歳を昨年続けて見送りました。これからは老夫婦の二人暮らし。


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多摩大学リレー講座 十市 勉

日本エネルギー研究所顧問 十市勉さん
テーマは『震災後・原発事故とこれからエネルギー政策』
残念ながら受講してから10日もたつとその内容のほとんどが記憶から消失。
しかもブログに書くための原稿が2度も消失。
レジメも消失。
それでもなんどもネットでサイトを探しながらエンルギーについての考察。
2010年のエネルギー白書について優しい解説をされている
How We Produce Energy?(http://future-energy-production.blogspot.jp/2011/05/2010-2.html)より

2010年版のエネルギー白書は、第1部の話題として
各国のエネルギー安全保障の定量評価
再生可能エネルギー導入の動向と今後の取り組み
の二点をあげています。

白書では“エネルギー安全保障”を「国民生活、経済・社会活動、国防等に必要な量のエネルギーを受容可能な価格で確保すること」と定義しています。 
したがって、これを脅かすリスクとしては端的に言って「供給量が減るリスク」と「価格が上がるリスク」のふたつが存在します。もっとも、経済学の原理からして需要が一定である限り供給量が減少することと価格が上昇することは一致しますから「供給量が減って価格が上昇するリスク」とひとつにまとめられるでしょう。白書ではこのリスクを「地政学的リスク…」とかあれこれ細分化していますが、要はこの「リスク」をもたらす可能性のある原因は様々あるよ、ということです。

このリスクに対して、どういった対応策が取れるでしょうか。
一次エネルギーの自給率向上
B. エネルギー輸入先の多様化
C. エネルギー源の多様化
D. チョークポイントへの依存度低下(解説以下)
E. 国内電力供給信頼度の向上(解説以下)
F. エネルギー消費GDP原単位の向上(解説以下)
G. 備蓄能力の向上 

Dの言わんとすることは、つまり、せっかく輸入先を分散しても特定の場所を通る路線ばかりに依存していてはリスク分散にならないということです。事実日本の原油・ガス輸入経路のほとんどはマラッカ海峡に依存していますので、紛争等でここが通行不能になった場合、供給が途絶えるリスクがあります。
Eは国内でどれだけ電力を安定供給できているか(停電などがないか)ということ。
Fの「原単位」というのは生産効率を表す用語で、ある一定の成果(製品など)を得るために投入された生産要素(労働力、原料、エネルギーなど)の量を示します。この場合は単位GDP当たり、それを生産するために消費されたエネルギー量のことで、つまりエネルギーをどれだけ効率的に経済活動に利用しているか、という指標になっています。白書によればこの点、日本は優秀で、他の先進国の1.5倍近く、また中国の8倍近く効率的にエネルギーを経済生産に転化できていることになっています。
さらにエネルギー安全保障の定量評価と各国比較 によると
日本は、化石燃料の割合も60%程度に止まっているほか、その内訳も石炭、石油、天然ガスと他国に比較して非常にバランスよく分散されています。
 またそれ以外の部分についても主として原子力が約25%を占める他に、水力発電も中国・フランスに次ぎ5%以上の割合を占めており、ごくわずかながら再生可能エネルギーの利用も始まっています

まだ2010年のエネルギー白書には今から思えば太平の世ののどかさ。
ですがその後の大震災と原発事故を踏まえて
  経産省、エネルギー白書で原発推進の記述削除 再稼働は明記  (2011/10/14 10:08)
 経済産業省が、近く閣議決定する2010年度版エネルギー白書で、原子力の意義や利点を強調する記述を削除したことが13日、分かった。東京電力福島第1原発事故を教訓に、「脱原発依存」を目指す野田佳彦首相の意向に沿って、今後はエネルギー政策を白紙から見直すとした。
 ただ「定期検査後の原発再稼働を進める」とも明記し、当面の電力確保には原発を活用する姿勢は変えず、大胆な政策転換につながる道筋は示さなかった。
 09年度版までのエネルギー白書は「原子力の意義」を掲げ、「基幹電源と位置付け推進」するとした文言が記載されていたが、今回の白書では姿を消した。

と政策的には見直しがされることとなり、
2011年7月末の検証のなかで作成された2011年の白書の中では
震災後・原発事故の課題とし3つ上げています。

(3) 明らかになった課題

①原子力の安全性確保

原子力の活用については、事故の徹底検証を行うとともに、より高い安全性を確保することが大前提です。ストレステストを参考にした新たな安全評価の導入等を示した「我が国原子力発電所の安全性の確認について(2011年7月11日)」の政府方針に従って対応するとともに、事故の検証結果や教訓を踏まえて、安全規制を強化します。原子力発電所の再稼働については、安全の確保及び地元自治体との信頼関係の構築が大前提であり、地元自治体に対しては、政府が前面に立って安全対策等について丁寧に説明し、その理解を得るべく努力していきます。

②周波数変換所や連系線の容量不足

東日本大震災発生直後においては、東日本(50Hz帯)の電力不足に対して、西日本(60Hz帯)からの余剰電力の融通を十分に行うことができず、計画停電を余儀なくされました。これは周波数変換所や連系線の容量不足(現状100万kW)が一因です。今後は、連系能力の抜本的強化等が必要と考えられます。

③電力需給逼迫の産業への影響回避

東日本大震災は、日本経済が以前から抱えていた構造的な課題を改めて浮かび上がらせただけではなく、電力需給の逼迫とコスト上昇懸念など今後の経済成長を制約するおそれのある新たな要因を生じさせました。

東日本大震災による原子力発電等の停止によって、今夏は例年にない節電・ピークシフトが必要な状況となりました。また、火力発電等によって原子力発電を代替する場合には、LNGや石油を追加的に調達する必要があり、燃料コストの上昇等が懸念されます。

さらにほぼ1年後)事故後1年4か月後)の
東京電力福島第一原発事故を検証する国会事故調査委員会(黒川清委員長)は5日、最終報告書を決定し、衆参両院議長に提出した。東電や規制当局が地震、津波対策を先送りしたことを「事故の根源的原因」と指摘し、「自然災害でなく人災」と断定。首相官邸の「過剰介入で混乱を招いた」として、菅直人前首相の初動対応を批判した。東電が否定している地震による重要機器損傷の可能性も認め、今後も第三者による検証作業の必要性を求めています。

そんなこんななか
十市さんは科学技術振興機構のscienceportalというサイトのシリーズ「日本の安全と科学技術」の中に
「東日本大震災とエネルギー安全保障問題」という論文を寄稿されています。
 http://scienceportal.jp/HotTopics/safety/safety2/
昨年の8月に掲載のものですが
世界の原発状況に触れ
世界の原子力発電については、2011年1月現在で、世界30カ国で436基、約4億キロワットが運転中ですが、その後、日本(54基、4,885万キロワット)は減り、ドイツ(17基、2,152万キロワット)も一部ストップしているので、減っています。さらに日本の新増設14基の建設という計画も、非常に難しくなっています。

一方、中国には現在13基、1,085万キロワットの原発が稼働中であり、計画53基のうち28基が建設中です。2015年には4,000万キロワット、2020年には7,000-8,000万キロワットに増やす計画を進めています。今回の福島第一原発の事故を受けて、中国政府が安全対策などに慎重になり、計画がスローダウンする可能性はありますが、あっと言う間に日本を追い抜くのは時間の問題です。第1位は米国(104基、1億524万キロワット)、第2位がフランス(58基、6,588万キロワット)、第3位が日本という現状で、第4位のロシア(28基、2,419万キロワット)もさらに24基(2,547万キロワット)という大規模な建設計画を持ち、韓国(20基、1,772万キロワット)も8基(960万キロワット)の建設を計画しています。
相変わらず原子力発電所のトップランナーらしい発言を続けておられて
事故の責任を自らに問うことなどまるでないお人のようです。
さらに日本には原子力発電所が54基あり、東北エリアで今15基止まっています。さらに、その他の原発も13カ月ごとに定期検査があるので、どんどん止まっていきます。すでに定期検査が終わった原発もかなりありますが、それも知事さんのゴーサインが出ないということで動いておりません。法律的には、原子力安全・保安院が定期検査の終わった段階でそれを審査して、オーケーを出せば動かせるのですが、電気事業者は地元の知事さんといわゆる「原子力安全協定」という法的根拠のない“Gentleman's Agreement”を結んでいて、知事さんがオーケーと言わないと動かさないことになっております。

浜岡原発については菅首相が、30年以内に東海地震が起きる確率が高いということで、法的根拠のない形での、行政命令に近い要請をして止めました。その他の原発についても、定期検査が終わったところは「動かしてよい」との根拠が示されていないので、各知事さんはゴーサインが出せず、どんどん止まっている状況です。浜岡原発の停止理由を説明するときに、ほかの原発については「こういう安全基準の条件を満たせば当面は安全だということを国が保証する」ということを同時に言ってやるのが、政治家として、国のリーダーの本来やるべきことだと思います。止めることだけ言って後は知らないというのでは、極めて無責任ですよね。

と管さんの無責任さには鋭いご指摘。
ただ54基稼働していた原発を一気にゼロにしろというのも確かに無理という気がします。
もう少し長いスタンスで(ゼロにしていくという…とはおっしゃっていませんが)視点は必要だと思います。
御用役にのそしりはあるにしてもその道一筋の専門家ですから
指摘される問題点にも耳を傾けなくては
でも、さらにクリーンで再生可能なエネルギーの調達が可能な社会へ移行できるなら
その1日も早い実現に向けて日本の英知を結集して世界のエネルギーの方句を指し示してほしいと思います。

十市 勉(といち つとむ) 氏のプロフィール
大阪生まれ。大阪府立大手前高校卒。1973年東京大学理学系大学院地球物理コース博士課程修了(理学博士)、日本エネルギー経済研究所研究員。米国マサチューセッツ工科大学(MIT)エネルギー研究所客員研究員、日本エネルギー経済研究所総合研究部長、同理事・総合研究部長、同常務理事、常務理事・首席研究員を経て2006年専務理事(最高知識責任者)・首席研究員。2011年6月から現職。

はあ長くなった(ー_ー)!!

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Author : merienda

創造力と想像力で楽しむ暮らし。現在山に夢中。お花大好き。月1回の男の料理会。東京在住。1昨年末99歳の姑を、昨年母(96歳)を自宅で見送りました。金婚式を終えた老夫婦の新しい暮らし始まりました。
写真はカシニョール「おやつの時間」
メリエンダはスペイン語でおやつ(間食)のこと。

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