父
立春。父の誕生日。父を懐かしんで過ごした。もう亡くなってから26年にもなる。母が一人で過ごした年月と重なる。厳しさも優しさも特別なことなど何にもなかったけれどいい父だったと思う。高校時代帰宅の途中同じ電車に乗っていて改札口で偶然一緒になるといつも重い紺の革の学生かばんをさっと持ってくれた。言葉のないその自然さが今もなぜか思い出される。肩を並べて暗かったり暗くなりかけた道を家まで手ぶらで歩いた時間がな...